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武田信玄と毛利元就〜思いがけない巨大な勢力圏 鴨川達夫

 代表的な戦国武将である二人について、あまり注目されていない文章などを掘り出して、意外な一面を紹介する一冊。
 どちらも酷く悲観的で慎重な面があったようだ。もっとも、元就のそういう性格については、厳島の合戦を前にして息子にどやされたエピソードがあることを知っていた。
 悲観的で慎重なのは名将の条件だと著者はいうし、その通りかもしれないけれど――アウグストゥスいわく「大胆な指揮官より慎重な指揮官」――個人としては幸せに生きていくことが難しそうだ。そんな風に変に同情してしまった。

 タイトルにもなっている巨大な勢力圏の誕生は、信玄や元就の野心ではなく、政治的事情や地政学的な事情から生まれてしまったものだと著者は指摘する。
 元就は陶を倒した後に周防と長門をおさめることに不安を感じている書状が残っていて、紹介されている。まぁ、安芸一国でも不安だっただろうから当然か。自分より大きな獲物を飲み込もうとする蛇の不安に近いと思う。
 防衛の必要から領土を前進させた説に、ガダルカナルの例を持ち出しているが、あれはアメリカとオーストラリアの間を遮断する意図があったので例えとして適切じゃないと思った。むしろ、朝鮮から満州にどんどん深入りしていった事情が近いのではないか。

 とりあえず石見銀山が凄いことが印象に残った。例に挙げられた二つの港(赤間関と美保関)の関銭が500貫程度なのに対して、石見銀山の収益は四万五千貫だ!!
 武田氏の金山経営については良質な文献資料が残っていないみたい。大久保長安の件もあるが、石積みにかんする穴太衆みたいに、甲斐の金山衆がブランド化して、偽ブランドが氾濫する状態になった可能性も?

関連書評
武田軍団を支えた甲州金〜湯之奥金山 谷口一夫
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武田信玄と毛利元就―思いがけない巨大な勢力圏 (日本史リブレット人)
武田信玄と毛利元就―思いがけない巨大な勢力圏 (日本史リブレット人)
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