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イスラーム歴史文化地図 マリーズ・ルースヴェン+アズィーム・ナンジー

 中村公則・訳。色を付けてみられやすいイスラーム側からみた世界の歴史地図(色付き)。ムハンマドの登場から世界的な発展、そして現在の状況までを視覚的に知ることができる。
 ただ、日本が「テロリストが活動する地域」に分類されていて、タイがされていないなど、納得できない細部もあるので鵜呑みにするのは注意が必要と感じた。日本赤軍のことを言っているのは想像できるが、イスラーム的なテロリスト観があらわれていると考えて良いのかなぁ。

 奴隷に関する記述については考え方の違いを感じるところが多くて、自分が西洋文化に毒されている気もしてしまった。しかし、幸福の形を考えたときに、そちらに寄り添っていく方を選ぶのも事実。
 イスラームの神と共にある価値観とはどうしても衝突してしまう。ただ、価値観の違いがあることを認識すれば衝突は最小限にできるかもしれない。

 歴史地図はたくさん読んできたがイスラーム視点ゆえの目新しさは確かにあって興味深かった。特にアフリカの王朝名が新鮮だ。
 諸王朝の戦闘が表示されていても詳しい戦況図までは載っていなくて、ちょっと残念。
 なぜかイラクに関わる第一次世界大戦と湾岸、イラク戦争には詳しい図があった。湾岸戦争の作戦は鮮やかというほかがない。イラクにしてみればイラン側への備えも必要だったのはわかるが、見事な迂回と突破、包囲を許してしまっている。
 まぁ、戦争に勝利するのと戦勝を政治的な成功に結びつけるのは、また別の問題なのだが……アフガニスタンという底なし沼も恐ろしい。

 歴史地図の表示する年が第一次世界大戦や第二次世界大戦を画期にしておらず、ともすれば中世から現在までをシームレスな流れで扱っている点もイスラーム社会の状況を物語っていると感じた。
 これからどんどんイスラーム人口が増えていくんだよな。はてさて、どうなることか。地図の表すベクトルの先を読む。

関連書評
大陸別世界歴史地図2〜アジア大陸歴史地図
大陸別世界歴史地図5〜アフリカ大陸歴史地図
世界の戦争3〜イスラムの戦争 牟田口義郎・編

イスラーム歴史文化地図
イスラーム歴史文化地図
定価12000円です、はい
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