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最高の戦略教科書 孫子 守屋淳

 孫子の勉強会をさまざまな企業のトップと繰り返しおこなってきた著者が、孫子の内容にツッコミを入れることでさらなる深読みを目指した本。孫子の並びを解体して、テーマごとに孫子の有名な一部分を解釈している。また、他の兵法書や経営者、スポーツ選手などの言葉を多く引用して主張の助けにしている。
 この本が特別なのか、自分の心境の変化なのか、昔ほどビジネスへの孫子の応用に抵抗がなくなっている自分に気付いた。汚れちまった悲しみに……ただし、野球てめーまでは受け入れられない。主張は説得力があるんだけどね。

 著者は一度でも負けたら破滅の孫子が描いていた戦争と、小さく失敗して改善を続けることが有効なビジネスの違いを指摘して、常にそのまま応用できるものではないと説明している。または分野によって孫子に近い状況と遠い状況があるとも語っている。
 そういえば孫子では戦場で繰り返し負けることで敵を油断させて勝つ方法は考えられていない感じがする。せいぜい強いところの当たりはいなして、不定形となり、弱点を攻めるというところか。もちろん事前の情報戦では自らを弱くみせることを評価しているが。

 同じ相手と繰り返し戦う――というよりもフランスに報復する――ことをイメージしたクラウゼヴィッツと、一度かぎりの勝利を次善とする孫子の「重心攻撃」に関する違いの指摘も興味深かった。
 呉子にも一度で勝つ者は帝であり、五度勝つ者は滅びるって言葉がある。大企業相手に中小企業が繰り返し勝利していたら、同質化戦略で徹底的にやられてしまう。
 そんな可能性も意識させられる。

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最高の戦略教科書 孫子
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