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学研第2次大戦欧州戦史シリーズ1〜ポーランド電撃戦

 第二次世界大戦のはじまり。ナチスドイツによるポーランドの電撃的占領を中心にえがいた一冊。対比的にフィンランド戦争にも多くのページが割かれている。
 ポーランドとフィンランドどこで差が付いたか、慢心、環境の違い……本書の内容を信じるならば両方であるらしい。ポーランド軍は1920年のソ連・ポーランド戦争によって1939年になっても騎兵の有効性を信じてしまっていて、近代化に完全に遅れていた。
 空軍はそれなりに健闘したものの規模でドイツ軍に劣り、航空基地となる土地が奪われていくことで無力化されてしまった。そして、ソ連の参戦である……航空機を国産ですべて揃えることができていた欧州の新しい大国はわずかな期間で消滅してしまった。
 国境線に兵力を集中する配備が完全な裏目に出た。後のフランス軍はポーランド戦の結果をちゃんと研究していたのかなぁ。

 フィンランド軍はポーランド軍にくらべて敵を一方向に限定して、機動戦に向かない地形で戦うことができた。
 しかも、気候が味方して湖沼がなかなか凍結せずにソ連軍の進撃を妨げ、ソ連軍が分断包囲される段階になって凍死につながる寒波が襲ってきたという。
 人事を尽くしたら天命が待っていたのか。フィンランドとの戦争を通じてソ連軍が貴重な戦訓をえており、それをドイツとの戦いに大いに応用したことは意識しておきたい。
 日本陸軍もノモンハン事変の結果に同じような反応を示していれば……。

 ポーランドのナショナリズムが盛り上がりすぎて、ドイツとソ連はもとより、リトアニアやチェコとも敵対して、国境を接する友好国がルーマニアしかなかった状態には呆れるが、日本もタイ王国しかない状態になったので他人事とはいえない。満州国?重慶傀儡政権?なんのことです?

 巻末にUボートエース、ギュンター・プリーンによるスカパフローの攻撃ドキュメントが収録されていた。新月の夜にカーク水道を通過するはずがオーロラによって周囲は明るかったという。当時の太陽活動までイメージできる貴重な記録だなぁ。

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ポーランド電撃戦 (欧州戦史シリーズ (Vol.1))
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