<< 図録 農民生活史事典 秋山高志・北見俊夫・前村松夫・若尾俊平 | main | 日本の米づくり3〜イネ・米・田んぼの歴史 常松浩史 >>

新・歴史群像シリーズ8 朝鮮戦争〜38度線・破壊と激闘の1000日

 3年に及んだ朝鮮戦争の経緯や原因、後への影響を一冊にまとめた歴史群像シリーズのムック。2007年の発行。
 敵の考えを読み間違えた韓国軍・アメリカ軍が北朝鮮軍の猛攻を受けるところから戦いは始まる。危険な状態なのに韓国軍の編成が混乱していたと説明されているが、そういうタイミングを狙って仕掛けてきた側面もありそうだ。
 山岳地帯だからアメリカが韓国軍に戦車を配備しなかったというのは言い訳じみて聞こえた。バズーカも口径が小さくて、より大型のバズーカが配備されるまではT-34/85に対して有効なダメージを与えられなかったそうだ。
 北朝鮮軍の燃料事情がどうなっていたのかは気になるところだが、ソ連はともかく、他の国からは資料が出てこないのだろうなぁ。

 第一撃を生き延びた韓国軍部隊の抵抗力は信頼できる印象(特に第一師団)で、新しく投入される米国軍部隊の方が心配な感じがするのは、興味深い。米軍と違って36点で帰国できるシステムもなく、よく戦い続けたものだ。やはり地元を舞台にしているだけ意気込みが強いが、それは北朝鮮軍の側にも言えたようで……釜山攻撃時には韓国の占領地から徴兵した部隊が投入されていたのは共産国らしい。
 自らが兵力的に劣勢なのに、最後の総攻撃を仕掛けたのは、ずいぶんな賭けだった。まぁ、最大進出線で国境を安定させられる可能性はなかったと思うけれど。

 中国軍の戦い方は、確かに人海戦術ではあるものの、限界を超える前に体勢を整えるようにしている(準備中は北朝鮮軍にスクリーンをさせているのが上下関係を想像させてエグい)。当然ながら頭を使って戦っている。

 国連軍というかマッカーサーには中国軍の参戦で前線が危機におちいった際に、すっぱり38度線まで下がる判断を出したところに凄みがあった。
 まぁ、現地以外の軍隊は土地への思い入れが薄いだけに、冷静な判断を下しやすいところはあるのかもしれない。

 巻末にもまとめられているように、西側も東側も相手の意図を読み間違えて痛い目に遭うことが非常に多く、冷戦における「コミュニケーション」が序についたばかりであることも認識できた。文化がまるで違う。
 戦争はやっぱり文明の衝突なのだな……。

関連書評
学研第2次大戦欧州戦史シリーズ10〜ベルリン攻防戦
中東戦争全史 山崎雅弘

朝鮮戦争―38度線・破壊と激闘の1000日 (新・歴史群像シリーズ 8)
朝鮮戦争―38度線・破壊と激闘の1000日 (新・歴史群像シリーズ 8)
カテゴリ:歴史 | 18:33 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 18:33 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/2388
トラックバック