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メソポタミアの神話〜神々の友情と冒険 矢島文夫

 古代メソポタミアにおいてシュメール人やアッカド人、アッシリア人などによって粘土板に印された神話を整理して紹介するジュニア向けの本。欠損していて不明な部分が多い神話を著者がおぎなって意味が通るようにしている。繰り返し部分は割愛されているが、それでも目立つものがあった。
 おそらく学校の教材として使用された関係であえて繰り返し部分が多くなっていたのではないか。

 イナンナが地下界に行く話は門を通るたびに装飾を取られていって最後に全裸になるところが「注文の多い料理店」を連想させた。宮沢賢治が知っていた可能性はあるのかな?
 世にも有名なギルガメシュ神話は、山男エンキドゥが妙に賢いところが面白い。そんなに頭脳明晰な答えを返していい育ちをしていないと思うのだが、当時の人々は設定とキャラクターに違和感を覚えなかったのかな。(動物と一緒に水や草をとっていたところは無視して)山男は賢いものだという常識があったのかもしれない。

 神では圧倒的に「困ったときのエア神」である。とりあえず相談にいけば人間でも神でも助言を与えてもらえる。とってもありがたい神様だ。みんなにドラえもん扱いされている。
 イナンナはスイーツ。事実を指摘されて怒り、襲ってくるとか始末におえない。多神教の神らしい理不尽さである。

 いったん問題がこじれて大きくなってしまうと血を見ずには解決できなくなってしまうのは神々の世界でも同じなのだと、ティアマトに関する物語を読んで思った。血縁関係があっても容赦なしである。

 意味不明な点もあるが、歴史時代の初期から物語性豊かな作品が存在したことがよく分かった。


 古代メソポタミアを舞台にした作品「四方世界の王」で、マルドゥーク神が50の欠片に分かれている設定はマルドゥークの名前が50個あることから来ていたんだなぁ。ナムルもシャズもマルドゥーク神の異名に数え上げられていることに気づいて感動した。

関連書評
古代メソポタミアの神々 三笠宮崇仁・岡田明子・小林登志子
バビロニア都市民の生活 S.ダリー著/大津忠彦・下釜和也 訳
五〇〇〇年前の日常〜シュメル人たちの物語 小林登志子
四方世界の王1巻 定金信治・雨音たかし

メソポタミアの神話―神々の友情と冒険 (世界の神話)
メソポタミアの神話―神々の友情と冒険 (世界の神話)
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