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宇宙戦争1945 横山信義

 「火星人」は太陽系の外側からやってきた存在だった!そんな彼らの母船が地球軌道に乗るのを防ぐために、人類は総力をかけて制動機の存在するボルネオ島を攻撃する。
 世界各国の艦隊が協力し、最新鋭の決戦機B-29が無数に翼を連ねる。とてつもな兵力が「火星人」の先遣隊に叩きつけられた。

 結果は友情・努力・勝利。
 なのだが、人類の作戦に疑問を覚える部分もあった。冷却水パイプへの攻撃なら艦隊にも可能だったのではないか?取水口に対してなら雷撃も有効と考えられる。
 それなのにすべての攻撃を航空隊にまかせて海岸に遊弋していた事情がわからない。ちゃんとダメな理由があって説明を見落としたのかなぁ。
 「火星人」が最初からすべての戦力をボルネオ島に集中していたら突破はもっと難しかったかもしれないが、人類も戦力を結集しやすくなるので微妙なところだ。ただ、ドイツやソ連まで協力する体制を作るのは難しかったかもしれない。「火星人」に負ければ良くて奴隷化、悪ければ絶滅ってロシア人にとってはドイツ人との戦争でも変わらない……。
 本国も植民地も「火星人」に征服されているオランダが気の毒……人類同士の戦争でも結果は同じなんだよなぁ。中国や中南米諸国が明確には参戦していないのが残念だった。どちらも航空隊の派遣ならできるはずなのだが。

 最初は無敵だったトライポッドが気がつけば戦闘機の37ミリ砲で戦闘能力を奪われる状態になっているのも弱体化に感じた。何世代もかけて宇宙を渡ってきた関係(コールドスリープしていた可能性も示唆されているが)で、「火星人」も戦争には熟練していないようだ。
 地球の軌道にとどまれない腹いせに地球を破壊する爆弾を落としてこなくて本当によかった。中途半端に減速してしまったから「次の目的地」があったとしても到達することができず、滅亡まで宇宙を放浪することになるかもしれない。それはそれで恐ろしいことだ。

 「火星人」との戦いを通じて、人類は力をあわせることを学んだ。しかし、共通の敵は失われてしまったわけで、これを機に世界平和を達成できるかは未知数である。
 できなかった場合に領土内に火星人の技術を確保できていない日本は不利になるかもしれない。本土を攻められなかった僥倖が裏目に?

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