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中世ヨーロッパの城の生活 J・ギース/F・ギース 栗原泉 訳

 ウェールズ地方のチェプストー城を例に、13世紀ヨーロッパの城の生活を描き出した一冊。チェプストー城が最後まで主人公になることができず、途中ではチェプストー城があまり関係のない話が長々とつづいた感じである。
 著者がもとめる情報が高い密度で存在していなかったから、しかたがないのかな。個人的にはチェプストー城以上に、中世最古の詳細な家計簿を提供しているエレアノール・ド・モンフォールのことが印象に残った。悪名高いボゴ・ド・クレアも忘れない。お金はたくさん持っていて目の前のお気に入りには使うけど、貧者への施しが1日1ペニー。まぁ、巡回して貧者が救われる可能性もなきにしもあらずだが、元々が教会の荘園をあさって得た搾取の金だと考えると……。

 途中では城らしい話題を飛び越えて、村人たちについてまとめた章があった。ここは「中世ヨーロッパの農村の生活」と重複している部分が多い。詳しく知りたければ「中世ヨーロッパの農村の生活」を参照するといい。
 まぁ、最後の一歩手前では攻城戦について触れてくれていたから城の本であったのも間違いない。城の大陸での価値は分かるのだが、イングランドでは反乱の拠点になるデメリットの方が大きい気がする。チェプストー城のように制圧した辺境にある城ばかりではあるまい。
 反乱が起こったときにイングランド王派が拠点を守るためにも城が重要というおかしな考えになっているのかなぁ。
 デメリットがあるのに城を潰せなかったことに中世の「地方分権」された姿をみた思いだ。

 あと、ある司教のエピソード「悪ふざけで芝や小石やリンゴを王たちに投げつけ、最終的には未熟なブドウの汁を人々の目に押し込もうとした」には衝撃を受けた。とても正気でやったとは思えない!国王によっては茶目っ気が許されるのだが、それに歯止めが効かなくなった感じかなぁ。
 ダンテにも神曲で特別な地獄に送られるほど評価されているベルトラン・ド・ボーンの好戦的すぎる詩には笑った。現代に生きていたら煽動的マスコミとして、けちょんけちょんに批判されているに違いない。
 でも、彼の作品を現代まで書き継いできた人がいるんだよなぁ……。

関連書評
中世ヨーロッパの農村の生活 J・ギース/F・ギース 青島淑子 訳
中世ヨーロッパの都市の生活 ジョゼフ・ギース/フランシス・ギース 青島淑子 訳
中世の城 フィオーナ・マクドナルド/マーク・バーギン/桐敷真次郎

中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)
中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)
翻訳が「いつもの」青島淑子さんではないけれど、大きな違いは感じなかった
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