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奇偉荘厳の白鳳寺院〜山田寺 箱崎和久

 奈良県に存在する山田寺跡からは横倒しになった回廊の建築部材が発見された。木材であるにも関わらず、組み合わさった構造まで分かる状態を保っていた出土品から建築に関する多くの情報が得られる。
 建築の専門用語がたくさん出てきて目が回るけれど、宮大工気分を味わえないこともない。他にも寺の遺跡をとりあげたシリーズの本はいくつかあるので比較して記憶を強化するのも良い。

 回廊の建築部材については、埋まっている間に埋設文化財になりきってしまって、高分子ポリエチレングリコールによる保存処理をされても構造部材としては復活できないという記述がおもしろかった(鉄骨に立てかける形で立体展示されている)。
 逆に考えると、ずっと重量を支え続けてきた法隆寺の回廊はすごい。埋まらずにメンテナンスをされれば非常に長い期間、仕事を果たし続けられるわけだ。

 山田寺に関する歴史では石川麿呂の悲劇も興味深いが、平重衡の焼き討ちを受けた興福寺の東金堂衆が山田寺を襲撃して、本尊を奪い取った逸話が衝撃的だった。
 そんなことをされて仏が喜ぶのか……?実に荒っぽい時代である。
 まぁ、廃仏毀釈によって12個残っていた礎石が残り2個になるまで売り払われてしまった明治もなかなか……。

 数奇な運命をたどってきた山田寺が――この本では連続性がよく分からなかったが――いまも敷地内に残っている点にも感じ入るものがあった。

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奇偉荘厳の白鳳寺院・山田寺 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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