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鉄道考古学事始〜新橋停車場 斉藤進

 明治時代に鉄道が日本に導入された記念碑ともいえる新橋停車場。東京にぽっかり残っていた空き地から発掘された新しい遺跡の内実が伝えられる。その下に眠っていた大名屋敷も気になるのだが、言及はなし。代わりに縄文時代の土器が見つかったことには触れていた。遺跡とは重層的なものなのだ。

 西洋文明の産物である鉄道だが、その基礎工事には江戸時代からの技術がしっかり使われている。要求された能力を満たすだけの技術がきちんとあったことが分かる。日本の地盤や地震の多い環境を考えれば、基礎工事は日本式でやって正解だったのかもしれない。
 その辺りまで海外の技術を使用するとなったら、さらに予算が膨れ上がったに違いない。

 兵部省が国外からの侵略を容易くするとして鉄道の建設に反対していたことが印象に残った。国外遠征で役に立つと知れば、鉄道建設の推進に宗旨替えをしている。自分の過ちを認められず、間違った考えを貫くよりはいいかなぁ。

 新橋停車場では比較的新しいのと水分の多い土地柄が関係して、基礎杭などの木材や切符がよく残存していた。他にも生活感のある出土品が多くて、明治時代が目の前に蘇ってくるのを感じた。
 近代でも分からなくなっていたことがたくさんあるのだなぁ。今のことでもたくさん分からなくなってしまうと想像すると胸が熱くなる。

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