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「旧石器時代」の発見〜岩宿遺跡 小菅将夫

 日本にも縄文時代に先行する「旧石器時代」が存在した!戦後に行われたアマチュア考古学者、相沢忠洋による大発見から始まる岩宿遺跡のお話。
 もちろん画期的な存在ではあるのだが、現在では研究の中心は他の「岩宿時代」の遺跡に移っていっているとのこと。
 確かに地層を側面から掘って石器を探す初期の発掘風景は、現在の串が乱立する発掘風景と見比べれば、まったく違うものだ。串が大量に立っているのを見ると、すべての情報が見落とされずに記録されている気がして安心する。もちろん、そんなことはない。
 だから研究者は常に限界に挑戦して、少しでも多くの情報の記録を心がけている。だが、博物館の倉庫がいっぱいだ……。

 冒頭に写真を載せられていた黒曜石の「樋状剥離のある尖頭器」がとても美しかった。これを発見したときの相沢忠洋の興奮を想像すると感に堪えない。
 手の中にあるものが信じられず、氷のように消えてしまわないか、不安になったのではないか。

 他にも黒曜石の石器写真が載っていて、やはり美しかった(長野県産と推定されている)。他方、頁岩製の石器は製作時は黒かったものが長年の風化を受けて黄褐色になってしまっている。見た目は似ていても、長い年月によって大きな差が現れてくるようだ(もう一つの刃物の素材であるチャートは風化していないが)。そういえば黒曜石の水和層についての話題がなかったな。
 関東ローム層という非常にわかりやすい指標があるおかげか。しかも、縄文時代創生期の石器や土器も出ている。
 岩宿遺跡が大発見となったのも納得の環境である。

 「前期旧石器時代」の話題については「ボウを得てショクを望む」だと感じてしまった。もっと古く。より古く。人の追求には限りがない?
 発見者であった相沢氏は自分の発見した石器を研究の進展にともなって見直すなど落ち着いていた印象。彼の記念館があることに驚いた。試しの発掘時点で二人の助手を連れてきているし、凄い人だな。

関連書評
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「旧石器時代」の発見・岩宿遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」100)
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