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オセアニア〜暮らしの考古学 印東道子

 東側は特にただただ広い太平洋が広がり、わずかな島があるばかりのオセアニア地方。ここに分布を広げていったオセアニアの人々の歴史を考古学から追いかけた一冊。
 いくつかの栽培植物とブタ・イヌ・ニワトリの三点セットの家畜をもって東南アジアから太平洋に乗り出した人々の行動に胸が躍る。現実版ロビンソンクルーソーを読んでいる気分にもなった。
 石器文明とはいっても高度な社会を築いていたことはイースター島の例などで知っていたけれど、貝で斧を作っていたのには驚いた。先に木を焼いておいてから斧を入れることで巧みに切り倒すとのこと。そういえばカヌーを作るときも削る部分を焼き焦がすと聞く。木を使って火をおこすのがとても上手なのもサバイバル能力の高さにつながっていそうだ。

 オセアニアの島には火山島とサンゴ島の二種類があって、後者のサンゴ島は資源に大きな制限があったそうだ。特に土器をつくるのが難しくて、サンゴ島を経由してニュージーランドにたどり着いたマオリの人々は土器を製作する能力を失ってしまっていたとのこと。
 もし彼らが土器を知っていたら歴史が変わっていたのだろうか。

 オセアニアにとって二番目の植民の波となったモンゴロイド集団は東南アジアの前には中国の南部にいたとも考えられており、古代の史書に伝えられる集団で該当するものがあるかもしれない。
 そんな想像をさせられる点でも日本に通じるものがある。

 出てくる植物がそれなりに日本に馴染みのあるものらしいことが興味深かった。太平洋という大きな生態系の中では日本とオセアニアは間違いなくつながっていたんだなぁ。和名があることには、20世紀の関わりも影響していると思うけどね……。

 あまり日本に研究者が多くない分野を、総括的に書かれた本はおもしろい傾向がある。ハザールの本を読んだときのことを思い出した。
 もっともオセアニアに関しては日本オセアニア学会もあるらしい。ラピタ文化の関係者がひろくオセアニアから集まってきてスピーチしたという逸話には目頭が熱くなったが、太平洋の繋がりから日本も端っこに座らせてもらって一緒に正の歴史を築いていけたら素晴らしいことだ。

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オセアニア 暮らしの考古学 (朝日選書)
オセアニア 暮らしの考古学 (朝日選書)
この表紙は通らない国もあると思う……
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