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劉邦・中 宮城谷昌光

 転戦を重ねる劉邦は少しずつ人材を手元に集めていく。彼の人望によって多くの人材が登用されて思わぬ抜擢を受ける。エンクで仲間になったキンキュウの戦果列挙がハンス・ウルリッヒ・ルーデルっぽかった。斬首90、捕獲132からはじまって、国と郡をひとつずつ平定が戦艦の撃沈に相当しようか。
 みんな劉邦という龍に自分の運を託したのである。いっぽう、陳平は失敗体験から劉邦ではなく項羽を選んだ。

 項梁の軍で一緒に戦うことになった項羽と劉邦の距離感がおもしろい。後に戦うことになると知っているから特別の緊張感を覚えるが、そうでなくてもかなり独特のものがある。
 呂臣をくわえたトロイカ体制がうまく機能していて勢いがあった。項梁が倒されたことは彼らの人生を狂わせたようでもある。

 というか、章邯の仕事がいちいち「イベント敵」っぽくて厄介である。その時が来るまではどうしても倒せない雰囲気。三人組もいいところまで追い詰めたのだが詰めをおこなわなかったことで項梁が思わぬ反撃を受けた。
 この世界の章邯はわざと逃げて項梁軍を油断させた立場ではなく、死中に活を求めた珍しい立場だ。


 張良と一時的に組んだ劉邦が翼を得た虎のようになったのも印象的だった。彼がいなくてもやっていけない事はないが、行動がもつ意味の広がりに大きな違いがある。同じ行動でも政略的な価値をみとめて縦横に使ってみせる張良の存在によって、より大きなリターンを期待できるようになる。
 一人の存在で兵力を倍にするようなもので、彼が高く評価されるのも当然だ。

劉邦・上 宮城谷昌光
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劉邦(中)
劉邦(中)
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