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北のつわものの都〜平泉 八重樫忠郎 新泉社

 つわもの共の夢の跡、平泉藤原氏の本拠地、岩手県南部にある平泉の姿を藤原氏三代の改築を追う形で描く(著者は出羽にも領土があったことを意識して奥州ではなく、あえて平泉藤原氏と呼称する)。
 南に対しては京都に匹敵する文明を取り込んだ姿を、北に対しては山林の中に調和して存在する姿を演出する高度に政治的な都の姿が分かってくる。
 大量に出土するかわらけから東北の諸勢力と頻繁に関係を確認していた盟主としての藤原氏のありかたも伺える。ロクロ成形のかわらけが古くて、てずくねのかわらけが新しいという直感の逆をいく現実が興味深い。

 当時の京都でも最先端の施設を用意する平泉藤原氏のやりかたは、金にものを言わせた一点豪華主義的に見えるが、それが可能な技術者を陸奥まで引っ張ってくる政治力が凄いと思った。
 渥美半島から渥美焼きの技術者も連れてきているし、大きく気候風土の異なる土地に移ってきた彼らに、平泉藤原氏はどれほどの待遇を約束したのであろう。
 大量に出土した手工業の道具をみながら、長距離移動をしたかもしれない持ち主の人生に想いを馳せた。

 二代目の基衡が正当後継者の兄を追って、平泉藤原家を継いだという話も気になった。清衡の時代までは「衡」の一字は代々受け継ぐものではなくて、基衡の時に受け継ぐものになったと考えていいのかな。
 秀衡の時代になると、庶兄の国衡にまで一字が与えられている。
 鎌倉幕府が自ら滅ぼした平泉型の政治を継承しているという点も興味深かった。平泉藤原氏の手法が効果的だったことの証拠である。

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北のつわものの都・平泉 (シリーズ「遺跡を学ぶ」101)
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