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時を刻む湖〜7万枚の地層に挑んだ科学者たち 中川毅

 第四紀をあつかう地質学に画期をもたらした一つの地味で偉大な研究。若狭湾の水月湖から得られた湖底のボーリング資料から年縞(ねんこう)を取り、分析していくことでC14年代測定に高精度の較正曲線を与えた研究の裏側を当事者である筆者が語る科学読み物。

 本人がメインになって関わっていない部分については、まるでプロジェクトXみたいな語り口でじわじわと科学的な興奮と情熱を高めてくれる。
 ここは本人が関わっている部分だが、ボーリング装置の改善がひきおこした問題と解決のくだりが特にプロジェクトXっぽい。

 さて主題は厚さ0.6ミリメートル程度の地層を延々と7万枚も数えて分析していくことで――作業そのものは単純だが、想像するだけでも気が遠くなる。
 こういう根気のいる作業を最後まで完遂して、人類の研究を漸進させていく人を本当に尊敬する。
 研究資料が得られたのは日本だが、関連した研究者にはイギリスやドイツの人がいて、世界標準の基準をえるためだけに世界的な研究が行われている。

 湖底堆積物以外にも海底堆積物や珊瑚礁、鍾乳石などの一短一長がある年代資料が出てきて、研究のフロンティアが感じられる意味でも興味深かった。クロスチェックを欠かさない年輪年代研究者たちは変態、いい意味で。

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時を刻む湖――7万枚の地層に挑んだ科学者たち (岩波科学ライブラリー)
時を刻む湖――7万枚の地層に挑んだ科学者たち (岩波科学ライブラリー)
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