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劉邦・下 宮城谷昌光

 あとがきで田横の活躍を描いた香乱記で、劉邦を煮ても焼いても食えない男に描きながら、今回彼を聖人君子に描いた理由が説明されていた。
 個人としての一貫性と王者としての一貫性は違う。なんだか儒者が使いそうな理屈だなぁ。
 しかし、項羽が「まるで成長していない」と評したことと繋げて考えると、いろいろと納得できる。成長しないから何年経っても行動が一貫しているように見えるのならば、一貫性とは幼稚と同じになってしまう。
 行動が複雑にみえても、常に良い方向に変化しているならば、成長するという一貫性を備えていることになる。実際はどうだったかはともかく、田横や項羽より劉邦の方が玄人好みの歴史人物に見えるのは確かである。

 まぁ、皇帝になってからがまた大変なのだが……死んでからの王朝はもっと大変。部下も誅殺されず、呂后も芯の強い人のままで終われたこの作品は幸せであったと言わざるをえない。
 韓信はフラグを立てまくっているけどな……韓王信もそれなりに。
 ちゃんと出世できた人材を強調して、そうでなかった人材の存在を流すことで、光武帝劉秀の雲台二十八将も同じようなものだったかもしれないと遠回しに問題提起している?そんなことも考えた。

 ともかく項羽の真逆をおこなうことで成り上がった劉邦は、項羽という指針を失ってしまったために迷走をはじめた。そう考えるならば、やっぱり成長していないことになるが、真実はいかがなものであろうか。

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劉邦(下)
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カテゴリ:時代・歴史小説 | 23:22 | comments(0) | trackbacks(0)

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