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イスラーム史のなかの奴隷 清水和裕 世界史リブレット101

 日本人が考えるステレオタイプの奴隷よりもより大きな幅をもっていたイスラームの奴隷。逆に自由民にも奴隷との連続性があって、解放奴隷には解放した主人に対する奉仕義務があり、だいだい受け継がれるものであったという。
 いろいろな関係がありえたイスラーム社会の奴隷を例を挙げて紹介してくれる本書であるが、それを読んだ感想は「やっぱり奴隷制はろくでもない」というものに落ち着いた。
 人種によって向いた職業を決めつけられ、最悪の場合は肉体的懲罰を受け続ける結果になるなんて、たまったものではない。女性奴隷に対する性的搾取が当然のこととされる点についても現代では論外である。
 たまたま運良く主人に恵まれて取り立てられることがあったとしても、それが運頼みである脆弱さは否めない。ただ、イスラム教の影響もあって、運の良い例が比較的多く、差別も緩やかであったことは意識しておきたい。

 ムハンマドの言葉「終末のときにもっともつまらない財産は奴隷である」はどう読んでも「死ぬときまで奴隷を残さずに解放してやれ」という意味に受け取れるのだが、それを引用したアブシーヒーが奴隷をけなす目的で引いているのをみると、予言者の言葉が都合良く使われてしまう例が昔からあったことが分かる。
 ISISはいろいろと本書で紹介されているルールを守らず、やりたい放題やっているが、短期的に態度を改めることはないんだろうなぁ。

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イスラーム史のなかの奴隷 (世界史リブレット)
イスラーム史のなかの奴隷 (世界史リブレット)
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