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カエサル戦記集「内乱記」 高橋宏幸・訳

 カエサル対ポンペイウス。共和制ローマの後期をいろどる二大英雄による激突を、カエサル本人が描いた「覚え書」の翻訳。
 カエサルの文章にしては読み味が重く翻訳されている。ページの左端に注がまとめられていて、読みこぼしなく読み進められるようになっている関係もあるかもしれない。
 シリーズの続刊予定として未読の「アレクサンドリア戦記 アフリカ戦記 ヒスパーニア戦記」が収録されているらしいので、比べてしまうと悪文と言われる、それらがあまり変わらない感覚で読めそうなことに期待した。

 戦いそのものについては、せっかくの両雄対決がもりあがり切らずに終わってしまった。両軍の分裂した部隊がそれぞれ合流して、いざ決戦に挑む段取りなど、振り返って解説されると実に劇的なのだが。
 どうも、スキピーオーが私利私欲にまみれた小物として描かれすぎてしまっているために、脅威を感じられないらしい。ありえないことだが、ポンペイウスに合流するのがクーリオーの軍を破ったユバ王だったら、もっと盛り上がったはず……騎兵の質が違うから下手をすればカエサル軍が負けるか。
 「史実だけにもったいない」感覚があるのも、作品に史実らしさを感じさせるカエサルの術中なのかもしれない。

 巻末解説では「威信」と「われわれ(ローマ人)」をキーワードに訳者がカエサルの内乱記を振り返っている。「威信」を表に出した戦争は現代では「メンツ」で大事な命を無駄にしていると受け取られかねないが、それは時代がちがーう!
 舐められたら生きてはいけない社会の恐ろしさを間接的にひしひしと感じている。

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カエサル戦記集 内乱記
カエサル戦記集 内乱記
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