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黄泉の国の光景〜葉佐池古墳 栗田茂敏

 愛媛県松山市の山奥に存在する溜め池の近くにある未盗掘の古墳、葉佐池古墳。
 出土品は派手ではないものの、多くの痕跡を残していることで、葬送儀礼についての情報を提供してくれる。
 開墾のために作業をしていたバックホウで天井石を持ち上げられるという派手な形で発見されながら、調査は狭い石室に入り込んでの地道な作業で、なかなかまどろっこしいものがある。
 しかし、そんな調査方法ができたのも記録保存のための調査でなかったからだと考えると、葉佐池古墳は未盗掘であった以外の意味でも恵まれていたと思える。
 地権者もよく発見直後に連絡して、土地を公に譲り渡してくれたものだ。

 最初に発見された一号石室よりも大きく、葉佐池古墳のメインと考えられる二号石室について、木棺がバラバラに破壊された状態だったことが非常にミステリアスだ。
 一瞬、被葬者が仮死状態で埋葬されて、生き返って暴れた結果がなのではないかと妄想した。モガリで腐敗の経緯まで確認されるのなら、それは絶対にないな。
 葉佐池古墳二号石室の例から盗掘による攪乱と儀礼による破壊の区別がつかない古墳が本当はたくさんあると想像される。状況を知っているのは盗掘者だけとは腹立たしい。

 一号石室の遺体に蠅の蛹が大量についているのが確認されたのも、なかなか不気味だった。蛹の塊の写真が怖い……こんなものまである狭い石室で長時間作業した発掘者の気力には感嘆する。

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黄泉の国の光景・葉佐池古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」103)
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