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島に生きた旧石器人〜沖縄の洞穴遺跡と人骨化石 山崎真治

 有名な港川人の発見エピソードから最近の洞穴遺跡の発掘(「露天掘り」である)まで。ひとつの遺跡に集中せずいくつかの遺跡を追いかけることで沖縄の旧石器時代人の存在をえがく一冊。
 考察は太平洋全体での人類の広がりにまで展開しており、島という狭い世界が大洋という広大な世界に直結している様子を感じることができる。

 沖縄の人骨化石は石器と一緒に出てくることが非常に少なく、研究者を悩ませてきたが、さいきんの入念な調査によって少量の石英製石器がみつかっている。また貝で作られた道具である貝器もみつかっている。
 著者が推定する人骨化石がみつかる場所は墓地だったため、石器が見つかりにくいという説は直感的に納得できる。石器を副葬する余裕はなかったのだろうな。

 2008年以降の非常に新しい調査が紹介されているため、炭素試料をもちいた放射性年代測定法や人骨から取り出したコラーゲンの分析など、理化学的手法がたくさん行われている点も新鮮だった。著者が1977年生まれと若いことも。
 そのため、港川フィッシャー遺跡で沖縄における考古学の歴史に触れつつ、そこから未来への線を引いて今後の発掘調査の方向性を予感させる内容になっている。

関連書評
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新泉社 遺跡を学ぶシリーズ感想記事一覧

島に生きた旧石器人・沖縄の洞窟遺跡と人骨化石 (シリーズ「遺跡を学ぶ」104)
島に生きた旧石器人・沖縄の洞窟遺跡と人骨化石 (シリーズ「遺跡を学ぶ」104)
Amazonの書名が間違っている……
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