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アラブ・イスラエル紛争地図 マーティン・ギルバート 小林和香子・監訳

 アラブとイスラエルの恐るべき戦いの歴史をつづった歴史地図。
 最後には解決への光明が記されているが、シャロン首相が大きな障害になっていることも分かる。ユダヤ人の側から出版されたものなので、イスラエル寄りだと感じる記述が目に付いた(そういう意識があるせいかもしれない)。
 アラブやパレスチナによる殺害事件では、老人や女性、子供が被害者の場合はわざわざそのことを取り上げている(後半ではイスラエルの兵士がアラブの子供を殺害した場合も記述しているが)。
 またアラブ諸国の指導者による過激で妥協の余地を感じさせない発言が、ユダヤ人による宥和的な発言とならべて、挙げられている。
 もちろん事実は事実なので、単純な印象操作ではなくて、背後にあるものを読みとる機会が提供されてもいる。

 それで気付いたのは、初期のアラブ人には明確な指導者がいなくて一部のアラブ人が暴走的にユダヤ人への犯罪行為を働いてしまったのに対して、ユダヤ人には中核があり海外での生活でひとりひとりが外交慣れしていたことだ。
 自然、国際的な評価を受ける点ではユダヤ人が一枚上手だった。
 もっと悪いのはアラブ諸国の指導者が国家をまとめるためにイスラエルへの敵意やパレスチナ難民の悲劇を政治利用したことだ。そして何度も返り討ちに遭う。
 発言が過激で非妥協的なだけで、思わずメモりたくなる名言でないのも問題だ。
 冷戦の代理戦争にリンクしてしまったことも紛争を複雑化させている。

 すべては植民地化によって、中東にあった従来の統治機構がうしなわれてしまったことが原因である(ヨーロッパだけではなくオスマン帝国にも責任がある?)。
 それぞれの国民が非常手段を使わなくても自分の足で立てることを確信し、ゆがんだ権力者を排除することが、紛争解決への王道なのだろう。欧米は自らの利益のために独裁者を支援せず、民衆を支援すること(これが一番むずかしそう)。

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アラブ・イスラエル紛争地図
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