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「城取り」の軍事学〜築城者の視点から考える戦国の城 西股総生

 城取りと言っても、城を奪うことではなく、城を築くこと――選地を含めた行為――の意味である。最初に説明されるが自分も思いっきり勘違いしていた。
 築城や縄張りの言葉では視点がミクロになりすぎると判断してのタイトルなのだろう。もっと大きな空間的な戦略の中に「城取り」が考えられている。

 著者なりの経験から通説に風穴をあけるスタイルはいつもどおりで、すべてに頷くことはできなくても、いろいろと考える材料になった。
 大名系城郭の考え方だけは弁護されていたが……なんであの子だけ大事にされているのよ!キィー(ハンケチ噛み)!!
 日本の城に民衆を守るための機能は基本的にないと考えてよさそうで、大陸の城との違いが際だった。惣構すら前進陣地の考えで解釈されている。しかし、防衛ラインをいったん定めたら、そこを抜かれた時点で終わりになる場合が多くて、惣構が防御のメインになる場合も多々あったはず(長谷堂城とか)。
 戦国時代の末期には土塁が小型化するという話とのつながりで惣構の構造を考えた方がいいのかもしれない。

 防御の「指向性」をもった城もいくつも紹介されていて、著者の大半の城が拠点ではなく一時的な軍事施設だった説を補強している。
 ちょっと考えたのだが、指向性のあった過去の城を流用して別方向に新しく指向性を与えることをやったら、結果的にあらゆる方向に防御する城が誕生することもあったのではないか?
 土地を知り尽くしている人間なら別の戦役で使った構造物を活用することもできそうだ――ただ、ベストの位置にあるとは限らない。

 そういえば戦略的に怪しい位置に城をつくることで、かえって敵を分散させたという逆転の発想も載っていた。確かに存在を知れば、捨て置くことは難しい。一歩間違えれば遊兵をつくる行為ではあるが、興味深い説だった。

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