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エディアカラ紀・カンブリア紀の生物 土屋健

 群馬県自然史博物館監修。
 グールドのワンダフルワールドに衝撃をうけた読者必見!奇妙キテレツな外見の生物たちが跋扈したエディアカラとカンブリアの海に再現イラストと最新(2013年まで)の研究成果がご招待。
 不思議だが確かに現在につながる世界にダイブすることができる。

 ワンダフルワールドは衝撃的だっただけに、批判も強く、現在では多くのバージェス生物が現生動物に連なる存在であったと解釈されている。
 復元が修正された生物も多くて、ハルキゲニアはさすがにしっていたが、オドントグリフスやネクトカリスの「変身」には驚いた。
 バージェス生物群と対比されて有名だが、復元イラストへのなんとはない不満から手を出しかねていた澄江生物群も、見やすい復元イラストで一貫して描いてくれていて助かった。
 化石産出地を巡る研究者の争いが現代のマシューとコープみたいになってしまっていることを知ってショックを受けた。変なことをしないでくれよ。

 有名な二大産地以外にも、グリーンランドのシリウス・パセットやオーストラリアのカンガルー島、アメリカのユタ州、そしてスウェーデンのオルステンなどが紹介されていて、カンブリア紀の世界が広がった。
 オルステンの微少だが複雑な生き物がおもしろい。
 日本に縁のない地質年代だけに新鮮に感じられることが多かった。大不整合によって海に大量のミネラルが流れ込み、殻をもつ生物の発達をうながした説がまた興味深い。


 一方で、三葉虫の存在も忘れてはならず、めずらしい形態のものが特集されている。前後につまったノーウーディアの姿をみてカブトガニに似ていることを感じた。
 海の覇者アノマロカリスについては殻をかみ砕く力はなかったが、遊泳能力と高い視力でやっぱり捕食者であったと現時点ではまとめられるようだ。
 柄をもつ目を前に向けて立体視といっても、それを処理できる脳があるのかと疑問に思ってしまったが、澄江生物群のフクシアンフイアやアラルコメナエウスの研究から、すでに発達した神経系が生物にあったことも言及されていた。

 タイトルにあるエディアカラ紀については、それが制定されていることを初めて知った……情報量の関係かボリューム的にはカンブリア紀に比べてとても少なく、導入部の役割をなしている。
 エディアカラ紀の海の生態復元図をみているとSAN値が削れていく感じがした。比べてみることでカンブリア紀の海はまだ近い世界であったことが感じられた(先入観のせいかもしれないが)。

関連書評
進化する地球惑星システム 東京大学地球惑星システム科学講座編

エディアカラ紀・カンブリア紀の生物 (生物ミステリー (生物ミステリープロ))
エディアカラ紀・カンブリア紀の生物 (生物ミステリー (生物ミステリープロ))
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