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オーストラリアの荒野によみがえる原始生命 杉谷健一郎

 コーディネーター掛川武。
 これぞ地学のロマンにあふれた書。オーストラリアで30〜34億年前の地球に生きていた微生物の研究をしている著者による本。
 対象となる化石は非常に小さく、0.1mmサイズでしかない。それでも、この時代に生きていたと考えやすい原核生物だと考えた場合、非常に大きいと言うのだから、太古代の化石研究を行うことの難しさが想像できる。
 ひたすら薄片を作って観察を繰り返していた時期の話にはいろいろと思い出させられるものがあった。そうして考えながら多数の標本をみたことが、あとあとまで効いている点も含めて。

 最古の生命をめぐる発見レースについても言及していて、懐疑派の堅固な壁が興味深かった。否定する方は自分で材料を探しにいかずに論文が出せるので楽だと想像してしまうのは偏見なんだろう。
 しかし、認めないから認めないモードに入ってしまっているっぽい御大の逸話には苦笑いをしてしまった。まぁ、地質学者だから(他の学者でも)偏屈ものがいてもしかたがない。

 著者が発見した「微生物」はあえて表現すれば土星を漫画化したみたいな形状をしている。土星の輪にあたる「フランジ」が果たしたかもしれない流れ止めなどの役割や想定される生活環が興味深かった。
 小さくて比較的単純で情報が豊富とは決していえないが、後世に大きな影響を与える最初期にあたる生物の姿であるだけに、少しでも多くのことを知りたいと思った。
 それに挑戦する著者の活動を応援したい。決して荒野で迷子などにならないように……。

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オーストラリアの荒野によみがえる原始生命 (共立スマートセレクション)
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