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恐竜はホタルを見たか〜発光生物が照らす進化の謎 大場裕一

 発光生物という人目を引くが、実は研究者がとても少ない分野で、発光生物の進化を研究している著者が書いた本。岩波科学ライブラリーの249巻。

 世にも名を知られたルシフェリンとルシフェラーゼが生物種ごとに同じものではなく、系統的に離れた種では独自に「開発」されてきたことが新鮮で興味深い。
 海にはルシフェリンを他の生物から獲得して、ルシフェラーゼだけを自力で用意、半自力で発光する生物なんかもいたりして、実に多彩である。このあたりは他の生物から毒を獲得する海の生物がいるところに似ている。

 陸と海では発光生物の数に大差があって、海の生物の方が圧倒的に多い。カウンターイルミネーションをする生物を中心に、バイオマス量でも圧倒的らしい。
 ついつい有名なホタルに気を引かれてしまうが、ホタルは例外的な存在であるそうだ。
 ホタルと言えば北米にいるという、他の種の雌を真似た発光で雄をおびき寄せて食ってしまう生態のホタルがワンダフルだ……食われる方は死んでも死にきれないなぁ。
 ほとんど言及されていない地中生物圏の問題は気になるところ。ミミズが発光するのは地下細菌に発光する奴がいて、ルシフェラーゼだけ用意している可能性はないかな。細菌サイズなら地下のわずかな空間でも発光することに意味があるかもしれない――細菌サイズでは目がないか?

 あと、タイトルに絡めて出てきたジュラシックパークの逸話がおもしろかった。
 古生物学者の泰斗スティーヴン・ジェイ・グールドがほとんど白亜紀の恐竜なのにジュラシックパークなのは何故かと原作者のマイケル・クライトンに尋ねたときの回答。
「ああそうか、そんなことは考えてもみなかったよ」

関連書評
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恐竜はホタルを見たか――発光生物が照らす進化の謎 (岩波科学ライブラリー)
恐竜はホタルを見たか――発光生物が照らす進化の謎 (岩波科学ライブラリー)
カラーページがないのは惜しかった。スケッチも著者のものである点は凄い。
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