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ノルマンディー上陸作戦 チャールズ・メッセンジャー

 鈴木主税・浅岡政子・訳。「地図で読む世界の歴史」とあるが、他にシリーズがあるのかは確認できなかった。あったら、とても読みたいのに!

 本書はノルマンディー上陸作戦だけを集中してあつかった本であり、大量の作戦図が贅沢に使われている。イギリス軍とアメリカ軍による作戦の経緯がわかりやすく説明されている。

 フランス北部で再度実現したモントゴメリーとロンメルの対決に奇妙な縁を感じた。イギリスの第七機甲師団も参戦しているし――それだけ兵力の転用が必要だったとも考えられる、特にイギリス軍の方は。
 ノルマンディー上陸作戦が行われるまでの経緯もくわしく描かれているのだが、上陸用機材の手配などで北アフリカやイタリアでの作戦と対立せざるをえず、調整に苦労しているところが興味深かった。
 しかし、1943年中に上陸作戦をおこなっていたら、1944年ほど上手く行かなかっただろうと著者は観測している。制空権と制海権はとても大事だからなぁ。

 モンティとロンメルではない新しいライバル関係としてカナダ軍とSS第12機甲師団「ヒトラー・ユーゲーント」が何度も激突をしていた点も興味深い。
 最終的には兵員が500人にまで減ったライバルにカナダ軍の兵士は何を思ったことか。

 ヒトラーの指揮については、いつも通りの命令をくりかえすばかりで、落ち目のブラック企業経営者をみる思いだ。死守と反攻を命じるだけなら伍長でもできる。
 成功体験に呪われているなぁ。
 ただし、ブルターニュ半島のブレストやロリアンの要塞化命令には効果があり、連合軍の補給に多大な悪影響を与えた点は認めておかねばならない。ロリアンとサン・ナゼールは終戦までもっている。

 あと、フランス第2機甲師団のルクレルク師団長の偽名字がカッコいい。フランスに住む家族を守るためという偽名をつけた動機も含めて。

関連書評
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ノルマンディー上陸作戦 (地図で読む世界の歴史)
ノルマンディー上陸作戦 (地図で読む世界の歴史)
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