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アルスラーン戦記12 暗黒神殿 田中芳樹

 もはやアルスラーンが活躍する戦記ではなく、アルスラーン周辺の戦記になっている。十六翼将のあまりに豪華絢爛な陣容がアルスラーンの武力方面での成長をさまたげ、彼らの信頼できるバックボーンであることを求めたからだろう。最後にパルス王が言っているように王になったのは彼の意志だが、どうじに周辺の人々が求める形になったのは周辺の空気だ。人は、特に少年は柔軟でどんなものにでも変わってしまえるのだという希望と恐怖を私は彼に見る。

 場面は非常に幅広くペシャワール城攻防戦があったこと思えば、ミスルの国内事情が描かれたりして平行に走る糸に次々と飛び移っていく。苦しいのはあまりにも登場人物と地域が多すぎるのであやふやな記憶では思い出せないまま流れていく場面のあったことだ。
 さすがに主人公であるヒルメス周辺のことは覚えていたから、彼の一夜のクデーターには快哉を叫んだ。あの状況はマシニッサ将軍についても同じくチャンスだったのだが、やはり失うものの少ない人間の方が思い切った行動に出れるようだ。ヒルメスは同じ手段で地位を追われないように気を使わなければならないだろう。

 妖魔と人の戦いは有翼獣の存在のために立体的になってはいるのだが、同時に指揮系統が獣より少しマシ程度でしかないため、パルス軍と互角の戦いになってしまっているのが残念。
 個人的にはもっとピンチを演出した上で、一気呵成鬱憤を晴らす大攻勢に出てほしいものだ。このままではナルセス指揮による狩猟の形で蛇王ザッハークとの戦いが終わってしまいそう。イルティリシュとレイラの野合が闇の王子を産んでくれることに期待しよう。

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