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マンスール〜イスラーム帝国の創建者 高野太輔

 世界史リブレット人の020巻。
 アッバース朝の事実上の創設者であり、イスラム教とアラブ民族のものから、世界中の人のものに変える働きを(結果的に)おこなったマンスールの伝記。
 予言者の死後、ウマイヤ朝の100年から書き始められており、イスラム国家の重要な初期を把握することができる。

 登場人物の気の利いた会話も多くおさめられていて、物語風に楽しめた。
 大合戦の図がほしかったところだけど、大半の読者の興味はそっちには向いていないか……。
 アッバース朝の成立をなしとげた功労者アブー・ムスリムへのマンスールの扱いが恐ろしかった。別の将軍は次々と登用しているところをみれば、あれほどの人物でも粛清されるのだと見せつける狙いもあったのかもしれない。

 身内やアリーの子孫であっても容赦なく、排斥しまくるマンスールの態度はある意味で「平等」と考えられる。
 甥のイーサー・ブン・ムーサーは後継者指名は外されても生き残れて良かったな……。慈悲深さを浪費と勘違いしていそうな(喜捨の風習などで実際に区別が難しい?)マンスールの息子マフディーを経てアッバース朝が長く続いたのは奇跡に思える。
 それもマンスールがしっかりしていた上での寛容だったおかげかなぁ。理想的な一代目と二代目の配置である――マンスールはアッバース朝のカリフとしては二代目なんだけど。

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マンスール―イスラーム帝国の創建者 (世界史リブレット人)
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