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史記<列伝> 水沢利忠・著/佐川繭子・編 明治書院

 司馬遷の史記において一方の軸をなす列伝から主要な人物を抜粋してわかりやすく翻訳した一冊。
 書き下し文と翻訳のあとに、背景として周辺事情が紹介されているので、注を追うように引っかからず、流れの中ですらすらと読むことができる。

 発展させた歴史小説を読んでいると内容豊富に思えてしまう列伝の内容が意外なほどさっぱりしていて、必要最小限に近い文章量で描かれていることに驚いた。
 竹簡・木簡がメディアだったのだから、文章をシェイプアップするのは当然か。書き下し文からでも司馬遷の名文家ぶりが伺えた。
 とりあげられている人物については発展作品でおおよそ知っていたが、基本的な情報がどこなのか押さえる役には立った。たまにいつも割愛されてしまうタイプの情報が原典に載っている。

 刺客列伝など教科書に載っている人しか取り上げられておらず、すべてを押さえようと思ったら不適当である。孫子・呉子列伝から、呉子がまったく挙げられていなかったことが悲しかった……。
 それ以上に李斯列伝での宰相の転落ぶりが悲しい。まぁ、焚書坑儒をやった後だから因果応報か?趙高の黒を白と言い張り、周囲を丸め込むテクニックがすざまじく、有名な馬鹿のエピソードはその完成形として流れの中にあることが理解できた。

史記 列伝 (新書漢文大系 14)
史記 列伝 (新書漢文大系 14)
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