<< 元素でわかる鉱物のすべて 八川シズエ | main | 石造物が語る中世職能集団〜日本史リブレット29 山川均 >>

中世の天皇観〜日本史リブレット22 河内祥輔

 明治以降の「万世一系」の天皇観とは異なる天皇観が支配していた中世日本の社会を、愚管抄と神皇正統記を主な資料として考察する一冊。固定観念が破壊されて、非常に興味深い内容になっている。
 天皇には幹となる系統と、枝葉となってしまう系統があるという発想には「古代天皇列伝」で似たような話に触れたところだったので、なおさら刺激を受けた。

 天皇に間違いがあった場合は摂関家が「神の意志を受けて」天皇を交代させうるというのも面白い。二重権力体制の芽はこういうところから育っていったのかもしれない。
 摂関家も間違っていた場合が気になるのだが(実際承久の乱では後鳥羽上皇に丸め込まれた)、多少は実力主義の洗礼を浴びるだけ能力が保証されている?

 足利義満が天皇になろうとした疑惑や平将門が新皇を名乗った説にも、一貫した視点から説明を加えている。愚管抄や神皇正統記よりだいぶ後の時代にいきた織田信長も同じ天皇観に従っていたのだろうか、それとも南北朝以降の幹が怪しい状態によって天皇観が微妙に違っていたのだろうか。
 江戸時代の太上天皇にまつわる記述を読むと、おそらく前者だと思われる。

関連書評
古代天皇家の婚姻戦略 荒木敏夫
倭の五王〜5世紀の東アジアと倭王群像 森公章
蘇我大臣家〜倭王権を支えた雄族 佐藤長門

中世の天皇観 (日本史リブレット)
中世の天皇観 (日本史リブレット)
カテゴリ:歴史 | 21:47 | comments(0) | -

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 21:47 | - | -
コメント
コメントする