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「孫子」解答のない兵法 平田昌司

 現代においても神話につつまれてしまっている孫子の意外な歴史を教えてくれる一冊。
 孫子がそれなりの地位を保ってきた背後には科挙に取り入れられていたおかげがあったらしい。中国における科挙のテキストは聖書みたいな役割を果たしてきたと言えるかもしれない。
 日本においては「太公望の兵法」である二冊が長く人気をもっていて、孫子が筆頭になったのは江戸時代に入ってかららしい。しかも、幕末における孫子研究は東日本が中心で、西日本は西洋などの新しいテキストをよく研究していたそうな……。
 そんな中、西日本で孫子に目を付けていたのが吉田松陰だった点がおもしろかった。

 有名すぎる銀雀台の竹簡にない部分で世界でもっとも古い孫子の情報が日本に残っていたところも興味深い。
 ラテン語の古い形が古代ローマにおいては周辺であったドイツに残っているとされるのに、通じるものがある。

 「孫子学派」の文章とされる「奇正」の翻訳が載っている点にも注目。あと、魏武注があらためて面白く思えた。あれだけの大業をなしとげながら、歴史に残る研究もしているなんて本当に希代の人物であった。

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『孫子』―解答のない兵法 (書物誕生―あたらしい古典入門)
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