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新・ローマ帝国衰亡史 南川高志

 ローマ帝国衰亡の歴史をガリアを筆頭とする帝国辺境から分析することを目指した文庫。
 問題はあれど、ローマ帝国が最後の方まで威信をたもっていたことを描写する。西ローマ帝国の滅亡後も「ローマ人」の有力者が活動を続けていることを考えれば、そういう認識も正しいのかもしれない。
 しかし、西方の地域に不可逆的で、ローマの統一感を損ねる現象がじわじわと起こっていたのも事実らしく、それが顕現する形で西ローマは滅びる。

 軍人皇帝がイリュリア出身のローマ人「第二のローマ人」から輩出されて、当時のローマのバックボーンとなったことは知っていたが、続いてガリア出身の人々が「第三のローマ人」となってローマ帝国を支える流れがあったことは知らなかった。
 両者の間で成功の差を分けたものはなんであろうか。後者はより西方にあるから東方への遠征への耐性が、低かったのかもしれない。

 ローマ人からローマ人らしさを奪った偏狭なローマ人意識の誕生に関する問題は、非常に現代的だ。現代の問題が古代ローマに投影された形にも思える。
 様々な時代のそういう投影に耐える要素を滅亡時のローマがもっていたことが興味深い。

 背教者ユリアヌスへそれなりにページが割かれており、彼のプロパガンダを鵜呑みにしない方針ながらも、やはり時代の主役として扱われている感じがした。

関連書評
普及版 ローマ帝国衰亡史・上 エドワード・ギボン/中倉玄喜
軍人皇帝のローマ〜変貌する元老院と帝国の衰亡 井上文則
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新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)
新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)
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