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航空宇宙軍史・完全版三〜最後の戦闘航海/星の墓標 谷甲州

 第一次外惑星動乱に関連して行われた鬼畜の所業を集めた一冊。ガニメデは作業体Kに代表されるサイボーグ計画の人体実験、タイタンは12個の生体脳を利用したラザルス、航空宇宙軍はシャチのジョーイを乱暴きわまる方法で捕獲してのオルカ・キラー建造と、カリストだけがまともかと思ったけれど、先にオルカ戦隊を整備したのはカリストであった。また、ラザルスの研究をひきついでヴァルキリーを完成させてもいる。
 まったくどいつもこいつも……航空宇宙軍には開戦前から前科があったんだっけ。

 最後の戦闘航海が漂わせるブラック労働の雰囲気が最初に読んだころとは異なって感じられた。
 人間の態度次第で緩和される部分もむしろ悪化している事実が醸し出すどん底感が半端ではない。ろくでなしに限って幅を利かせる現実は人類が宇宙に進出しても変わらないらしい。
 かなりホラー仕立ての雰囲気で非常に怖い感じだったのに、作業体Kが接触してきてから急に「弛緩」してしまった。おっさんおっさん言うせいか?
 作業体Kよりも意志を持った機雷群が怖かった気もする。セリフもあるのに掃海員の二人は名前を出してもらえなくて可哀想。

 ジェイムズ・ランド中尉戦記こと星の墓標はけっこう読みにくい。
 特にジョーイ・オルカ視点の話には抵抗が強かった。昔はそんなでもなかった気がするのだが……大幅な加筆があったことよりも自分の変化が大きそうだ。
 ダンテ隊長がオルカ・キラーにミサイル2機を搭載してやらなければ、無事に回収ができたと思うと皮肉である。トラッパー・キリノは悪人ながら最期にみせた意地は見事だった。
 オロイのおかげで地球に帰還する軌道に乗ったと言っても、突入前に航空宇宙軍に阻止されて回収されてしまう予感しかしない。それともタイタン軍に回収されて、第二次外惑星動乱の材料にされるか。
 外宇宙に飛び続けたバジリスクに比べてロマンで終われそうにない……。

 ヴァルキリーとジョーイの戦闘は熱かった。あんなヴァルキリーの攻撃から生き延びたジョンソンたちも本当に凄腕だなぁ。
 ジョーイがミサイルを利用したチャフを思いついていればダンテ隊長たちも助かったのに。そういえばピートはロッドなのか?ちょっと専門分野の方向性が違う気もする。
 タイタン脱出時には隊員が100人を超えていたと言うから、ミッチナー将軍でなくても人材を再配分したくなるはずだ。

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航空宇宙軍史・完全版 三 最後の戦闘航海/星の墓標 (ハヤカワ文庫JA)
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