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狼疾記 中島敦

 人類の未来に悩んでしまう男、三造のくよくよした話。セトナ皇子(仮題)に通じる要素をみていたが、M氏の登場によって思わぬ方向に話が転びはじめた。
 当時ならM氏のような扱いの人でも何度も結婚できたのだなぁ。現代では社会でもっとも見捨てられている階層あつかいされている「キモくて金のないおっさん」に見えた。もっとも金はそれなりにあったのかもしれない。あと、出会いの機会も多いな。

 三造の悩みには、太陽がなくなっても人間の活動の痕跡がまったく消えるわけではないと無理に反論してみたくなった。しかし、最終的には宇宙は光だけになってしまうと言うし、痕跡があっても何なのだろうか。
 わからない。
 自分の意識がここに何故あるのか?という悩みに惑わされた経験を思い出した。存在の意味を求めていたわけでもなかったのだが。

 多くの人は三造と同じ悩みを抱える余裕がないのだと考えてみるものの、実は考えたくないために余裕をあえて無くしている人もいそうだなぁ。
 曖昧ながらも考えつづけて、それを積み上げてきたM氏は立派である。

青空文庫
中島敦 狼疾記
教材として鉱物が出て来る点にも注目したい
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