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盈虚 中島敦

 まぁ、衛だから仕方がない。
 望みを遂げても悲惨な人生をおくった衛侯カイガイの物語。ともかく人生は、人格を歪ませる材料だけには事欠かない。親子の間柄でも油断はできないとパンドラの箱を開けてしまったのはカイガイ本人だった。

 自分を恨んでいる相手に、我が身に代えて宝を渡すときは「助けてくれたら隠した宝をやる」と言うしかないのかな。
 それはそれで「本当のことを言っている保証がない」と殺されそうだ。
 まずは手付けに持っている宝を渡して、他にも隠している宝があると取引に持っていければいいのだが、日頃の行いが末路を決めたと言わざるをえない。

 己氏の妻想いぶりは印象に残った。難民問題とついつい重ねて彼らの境遇を思ってしまった。
 支配者のワガママ一つで追放されるなんて、不安定な立場がつらい。近代以前は、普段は意識していなくても、多くの人が似たような立場で生活していたんだよな。

 あと、情けないことにタイトルが読めなかった。おうきょ?えいきょ??――何とか、えいきょだとわかっても意味は分からない。さらに国語辞典をみて、「1.月の満ちることと欠けること。2.栄枯に同じ」と理解できた。
 でも、カイガイはあまり栄えた気がしない。ただ一時的に焼け太りしただけだ。人の目に満ち欠けしてみえても、月はまったく変化していない。タイトルはそういう意味も含んでいるのかもしれない。

青空文庫
中島敦 盈虚
カテゴリ:時代・歴史小説 | 11:04 | comments(0) | trackbacks(0)

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