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悟浄出世 中島敦

 三蔵法師一行に出会う前、人間からうつされた中二病に見事に罹患した(沙)悟浄を主人公に、流砂河の化け物たちを巡って哲学的な答えを一緒に求めていく一冊。
 実に身近な悩みを抱えた人物が実は化け物で、相談相手の哲人たちもみんな化け物という意外性がおもしろい。化け物紀行としても読み応えがあった。その一方で、それぞれがもつ特性が語る哲学にも反映されている。
 見方によっては人それぞれの違いが化け物にすることで視覚的に伝えられている。

 悟浄が遭遇した相手を肯定的に捉えるところも良かった。それは自分への自信のなさの裏返しなのだが、たとえば我が子を食らう蟹の化け物「無腸公子」に対して生理的な拒否感を覚えて、意見を聞けなくなってしまった自分への反省を促してくれる。

 また、探求の末に出てきた「『お互いに解ってるふりをしようぜ。解ってやしないんだってことは、お互いに解り切ってるんだから』という約束のもとにみんな生きているらしいぞ。」という皮肉な解釈には強く心に残るものがあった。
 あるいは本当に解っているものがいても、解っていることが周囲からは解りようがないんだろうな。それでもうまく説明すれば預言者にはなれる。そんな感じだろうか。

青空文庫
中島敦 悟浄出世
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