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南島譚3〜雞 中島敦

 日本人に対して突然ブルースクリーンの出たパソコンのように何も受け付けなくなるパラオの人々。著者は彼らを理解不能だと述べるのだけど、未来の自分にはパラオ人の反応に心当たりがある。
 ブラックな存在の猛威に晒された人間の対処方法は、だいたい同じようなものであるはず。まったく論理性のない理不尽な暴風には、ひたすら受け流す以外に対応のしようがない――著者が引いたトリガーがそこまで強いものであったかはともかく。
 当時のパラオ人は未来に生きていたか、現代の日本人が植民地時代に生きている気がする。外国人研修制度など完全に再生産していると思うのだが。
 とりあえず「純朴な南の島の住民」なんてイメージはこのシリーズが吹き飛ばしてくれる。日本人やスペイン人、ドイツ人が純朴ではなくした部分もありそうだけど、伝説を考えれば「文明人」が来る前から彼らなりに複雑なものを持っていたはず。

 著者が遭遇した不思議な老人マルクープのデッサンは生き生きとしていて、中身は掴みどころのない存在でありながら、実在を強く感じることができた。
 恩返しの用意周到さはとても真似できそうにない。死の直前までベールの向こうにある頭の働きは衰えていなかったようだ。

青空文庫
中島敦 南島譚 ※[#「奚+隹」、第3水準1-93-66]
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