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弟子 中島敦

 孔子の愛すべき弟子、子路を主人公に据えた中編。快男児である子路と明快なわかりにくさをもつ孔子の対比が鮮やかである。
 中国民衆の二大潮流をなす侠と読書人の最初の接触を描いていると言えるかもしれない。子路本人は自分を侠とは定義していなかったが。

 子路が命を失うことになった衛におけるお家騒動は、盈虚に繋がっている。弟子を読んだ後に盈虚を読めば、ますます虚しくなれそうだ。
 つまらないことで死ぬよりさっさと逃げればよかったのだと考えるのは、奇しくも孔子に近い感覚かなぁ。作中の孔子が自分の時代に生きながら、後世の時代の視点を本当にもっていたことが、ここから分かる。

 「孔子の偉大さは先天的か、後天的か」という疑問も作品を通底する大きなテーマになっていた。王制への考え方にも繋がりそうで興味深い。後天的であるほど帝王学の施しがいがあるとも考えられるのかなぁ。

 論語の言葉がいろいろと出てきて入門用にも良さそうだった。

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論語 金谷治訳注
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青空文庫
中島敦 弟子
カテゴリ:時代・歴史小説 | 19:19 | comments(0) | trackbacks(0)

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