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琵琶湖に眠る縄文文化〜粟津湖底遺跡 瀬口眞司

 琵琶湖の湖底に眠っていたことで酸素が遮断され植物遺体と貝塚の両方を観察できる非常に恵まれた条件を備えた遺跡、粟津湖底遺跡。
 工事のために緊急調査された粟津湖底遺跡の貝塚から縄文人の生活を説得力たっぷりに描き出す。

 貝殻やイノシシの歯についても採集・捕獲した季節を調べることに成功して、よくある縄文人の食料調達カレンダーを見事に完成されている。
 湖と山、両方の産物が手に入らないと一年の生活が難しいデータから、縄文集落の変化まで説明をはじめていて、非常に興味深かった。農耕時代には一等地である氾濫原や畑になる扇状地が縄文時代には食料の不毛地帯になっている。
 時代が変われば土地利用も変わるのだ。

 遺物分析の担当者が新人ばかりで勉強会をやりながら必死に西日本では珍しい貝塚の研究を会得していった様子も印象的だった。
 なかなか報告書がでない遺跡がある一方で、新人ばっかりなのに厳しい審査を繰り返し受けながら短期間で大量の遺物を分析して報告書を刊行する遺跡もあるんだな。
 縄文人が意外と植物質の栄養をとっていたと書かれてもそんなに意外ではないのは、きっと粟津遺跡の情報が間接的に自分の耳に入ってきているせい。

 あと研究拠点が安土城考古博物館であることに意外性があって面白かった。

新泉社 遺跡を学ぶシリーズ感想記事一覧

琵琶湖に眠る縄文文化 粟津湖底遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」107)
琵琶湖に眠る縄文文化 粟津湖底遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」107)
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