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石鍋が語る中世〜ホゲット石鍋製作遺跡 松尾秀昭

 シリーズ「遺跡を学ぶ」122
 長崎県の西彼杵(にしそのぎ)半島に分布する滑石から石鍋を製作した跡地の遺跡群。その中で発掘調査がおこなわれた三カ所のうちの一カ所であるホゲット石鍋製作遺跡の調査記録から中世における石鍋の流通や用途に話が広がっていく。
 鍋は炉で、釜は竈で使用する物という分類は覚えておきたい。ただし、石鍋の場合は形態をかえて竈に対応したらしき後も石鍋と呼ばれ続けている。

 生産地の近くでは一般市民も利用できる道具であったものが、遠方では高級品になってしまう事情は、瀬戸や美濃の土器でも同じだ。中世における輸送コストの高さがうかがえる。ある記録では四個で牛が買える価格だったそうだ。
 用途の一つとして中世のデザートである「芋粥」を作るのに使われていたらしい。スイーツな道具だったんだ。

 北は青森から南は沖縄まで発見されているにも関わらず、石鍋の製作や流通に関わった人々については謎が多いそうで、文献資料に名前が出てこない以上は今後の研究進展も厳しいかもしれない。
 陶器みたいに銘を入れてくれれば……と思うのだが、滑石という柔らかい素材だから仮に銘が入っていても磨耗してしまうかな。

関連書評
古代祭祀とシルクロードの終着地〜沖ノ島 弓場紀知:石製品として舟形を思い出したので
中世瀬戸内の港町〜草戸千軒町遺跡 鈴木康之:大量の石鍋がみつかり、本書で名前が上がっている。

新泉社 遺跡を学ぶシリーズ感想記事一覧

石鍋が語る中世 ホゲット石鍋製作遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」122)
石鍋が語る中世 ホゲット石鍋製作遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」122)
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