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航空宇宙軍史・完全版4〜エリヌス―戒厳令―/仮装巡洋艦バシリスク

 完全版において初期作が後方におさめられている。読者にあたえる効果について解説でいろいろと論じられていたけれど、昔の作品から読んでいる自分には関係ない。
 それよりも変更点が大事なはずが、自然すぎてロクに気付くことが出来ていないらしかった。言われてみれば星空のフロンティアでのコーヒーに関する記述がうるさくなっていた気はする。
 あの(義理)一子相伝になりかけたキム大尉の代用コーヒー技術も宇宙に流出してしまったんだなぁ。オグが代表する歴史の流れに飲まれる個人の怒りは結局勝てないようでいて、星空のフロンティアの結末まで考えれば?
 歴史は集団が動かすのか、個人が動かすのか。集団も個人の集まりのはずが、統一された奇妙な意志的なものを持ち始めるからややこしい。

 襲撃艦ヴァルキリーは現実がおいついてきたために怖さが増した。自分が遭遇したら生き残れる気がまったくしない。奇しくもどちらの話でも皆殺しを選択しているから余計に怖い。
 溝口艦長は戦いを兵器と兵器の技術開発競争とみていたが、人類と人工知能の知恵比べ的側面も強く感じさせられるのであった。そうするともっとハンティング・ファルコンに似てくるなぁ。
 航空宇宙軍史の先進性を感じさせてくれるハードウェアと言える。

 それにしてもエリヌス―戒厳令―はボリューム感たっぷりだった。そして、登場人物の殺されっぷりが凄まじかった。完全版の順番変更によりカミンスキィ中佐の死がきわめて印象的なものになっている。
 SPAの組織は三大幹部にシリウス隊長まで失って壊滅状態のはず。「襲撃艦ヴァルキリー」において活動していたことが奇跡に思える。
 だが、新・航空宇宙軍史を知ると、タイタンが主導する第二次外惑星動乱では邪魔者となりかねないSPAがエリヌスで大打撃を受けたことは、戦乱の流れを加速させたようにも思える。非常に皮肉な話である。
 シリウス隊は教授の言葉を無視して、やったことだけを見ると、非常に勇敢で優秀な部隊にしか見えなかった。とりあえず自分には絶対に真似できない。

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航空宇宙軍史・完全版 四: エリヌス―戒厳令―/仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫JA)
航空宇宙軍史・完全版 四: エリヌス―戒厳令―/仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫JA)
カテゴリ:SF | 23:06 | comments(0) | trackbacks(0)

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