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オホーツク海戦 谷甲州

 満州に発見された油田の存在をアメリカとソ連が重視。馬賊に中国から日本が切り取った満州国から黒江省を切り離させるための軍事援助が行われようとしていた。日本海軍はそれを阻むために北の海に乗り出す。
 重巡洋艦が紛争に適当な兵器として扱われているのが興味深い。確かに戦艦では大事になりすぎるし、駆逐艦では威圧感が足りない(輸送船を同時に何隻も沈められない)。条約による中途半端な存在が争いを促進させるとしたら何という皮肉だろう。まぁ、巡洋艦は本来の偵察艦的な意味でやはり必要で、それを半端に感じる感覚そのものが艦隊決戦思想の影響下にある気もする。イギリスはこういう巡洋艦運用が大得意だろう。

 また、ここで第四艦隊事件を起こしてしまい、致命傷にならないていどに日本海軍艦艇の問題点を洗い出している。この巻におけるソ連やアメリカにならぶ仇敵は平賀造船中将なのである。これに自信をえた佐久間中佐は自信をもってサクマドロップ缶の大量生産に乗り出すに違いない――舞鶴で改装されていた島風って、電子兵器奪取でも出てきたあの船なのか?
 ともかく船という兵器に対する考え方の問題が興味深い。カタログで戦争はできないのだ。

 いっぽうで満州の荒野を舞台に繰り広げられている陣内機関の諜報戦はこれぞ冒険小説、ハードボイルドな熱さと格好よさがあって、脳ではなく肝を刺激する。優れたクレイジーマシーンである劉との死闘が――陣内大尉は何も出来てないのに――エキサイティングなのだ。
 まぁ、クレイジーマシーンなのは古鷹の角田艦長も同じ。鮮やかな独断専行に、パッとしない決着がついてくるのがクールだ。

オホーツク海戦―覇者の戦塵
オホーツク海戦―覇者の戦塵
谷 甲州
カテゴリ:架空戦記小説 | 23:09 | comments(0) | trackbacks(0)

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