<< 突撃!あぶない科学実験〜身近なものの意外なパワー | main | ビジュアル図鑑 写真で比べる地球の姿 ナショナルジオグラフィック >>

地図で見るアラブ世界ハンドブック マテュー=ギデール

 太田佐絵子・訳

 「沸騰する世界」などときわめて物騒な呼ばれ方をしているアラブ世界の理解を深めるアトラス。イスラム世界と一致させておらず、イランやトルコは含まれていない。一方、モロッコやモーリタニアまでのアフリカ西岸地域は含まれている。めずらしいところではコモロ諸島もカウントされていた。
 古代からの長い歴史をもっていたのにアラブに飲み込まれたメソポタミアとエジプトが力尽きたとみるべきか、単純に近年に自分たちの国をもっていたペルシア人やトルコ人が独自性を残したとみるべきか。
 世界でもきわめて古い民族であるベルベル人が独自性を主張している点も興味深い。
 まぁ、エジプトは莫大な人口においても重要すぎるがゆえにアラブが手放さず、アラブ化をおこなったと考えるべきであろうな。メソポタミアもアラビア半島に近すぎた。

 やはり戦争や紛争にかんする問題がたくさんあって、読んでいて胸の具合が悪くなりそうだった。ソマリアに至っては人間開発指数が算出できないほどの無政府状態……対岸のイエメンも流れ込む人々によって麻痺状態とのこと(感想を書いている今は戦争中だ)。
 比較すると難民の方が多くなっているレバノンはよく機能を保っている。地続きで政情不安定な隣国があることの大変さが日本人にも理解できる内容だった。

 アラブ世界にとって希望の星は「金融」であるらしい。イスラム法に適合した独特の金融業は着実に成果をおさめているし、リーマンショックなどにも抵抗力をみせた。
 ノーベル経済学賞をムハンマド(は死者だからコーランに)捧げれば西側世界の財界も少しは目を覚ますのではないか。
 イスラム法と金融の両方に理解の深い人材は世界に100人程度しかいないらしく、アラブ世界で大成したければ狙い目に思えた。

関連書評
アラブ・イスラエル紛争地図 マーティン・ギルバート 小林和香子・監訳
地球情報地図50〜自然環境から国際情勢まで アラステア・ボネット
ムハンマド・アブドゥフ〜イスラームの改革者 松本弘
イスラームの生活と技術 佐藤次高

地図で見るアラブ世界ハンドブック
地図で見るアラブ世界ハンドブック
カテゴリ:雑学 | 18:41 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 18:41 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/3432
トラックバック