近江の平成雲根志―鉱山・鉱物・奇石― 福井龍幸
2018.05.09 Wednesday | by sanasen
琵琶湖博物館ブックレット5
鉱物愛好家の間で名高い江戸時代の木内石亭は近江の出身だった。そんな縁から平成の雲根志と名付けられたブックレット。昭和雲根志は益富先生が書いているとのことで、かなり挑戦的なタイトルに思われる。
でも、滋賀県に限らず、各県で同じように雲根志が書かれたらおもしろい。それではまるで風土記だ。とりあえず山梨県版といえるものは山梨新聞が出版している。愛知も鳳来寺山博物館館長のものが近いかもしれない。
滋賀県には大規模な鉱山はあまりないかわりに意外と多様な地質から生まれた様々な鉱山が存在していた。
古老からの聞き取り調査などによって判明した操業の実際を丹念に記録していて、地元の強みをよく活かしていた。
特に石部灰山のベゼリ石が産出した時代に居合わせたことはうらやましい(著者は最適なタイミングは逃してしまったようだが)。まぁ、近年でもレインボーガーネットの発見などはあったし、可能性と夢と採集趣味だけでも後進に残してあげたいものである。
写真は著者の撮影によるものらしいが、できればプロに撮ってほしかった。ベゼリ石のマクロ写真や各種鉱物の蛍光写真は特に。近年の出版事情では難しいのかなぁ。
関連書評
山梨の奇岩と奇石〜石のロマンを追って 石田高・著 石田啓・写真
日本の屋根 長野県の鉱山と鉱石 市川正夫 | 読書は呼吸:長野県もあった
山師入門〜登山で見つけよう大地の宝 成谷俊明

近江の平成雲根志 (琵琶湖博物館ブックレット)
鉱物愛好家の間で名高い江戸時代の木内石亭は近江の出身だった。そんな縁から平成の雲根志と名付けられたブックレット。昭和雲根志は益富先生が書いているとのことで、かなり挑戦的なタイトルに思われる。
でも、滋賀県に限らず、各県で同じように雲根志が書かれたらおもしろい。それではまるで風土記だ。とりあえず山梨県版といえるものは山梨新聞が出版している。愛知も鳳来寺山博物館館長のものが近いかもしれない。
滋賀県には大規模な鉱山はあまりないかわりに意外と多様な地質から生まれた様々な鉱山が存在していた。
古老からの聞き取り調査などによって判明した操業の実際を丹念に記録していて、地元の強みをよく活かしていた。
特に石部灰山のベゼリ石が産出した時代に居合わせたことはうらやましい(著者は最適なタイミングは逃してしまったようだが)。まぁ、近年でもレインボーガーネットの発見などはあったし、可能性と夢と採集趣味だけでも後進に残してあげたいものである。
写真は著者の撮影によるものらしいが、できればプロに撮ってほしかった。ベゼリ石のマクロ写真や各種鉱物の蛍光写真は特に。近年の出版事情では難しいのかなぁ。
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