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巨大津波は生態系をどう変えたか 永幡嘉之

「生きものたちの東日本大震災」
 強烈に落ち込む。気持ちが沈んでいるときに読むと地底の底までもっていかれる。東日本大震災の津波による災厄を生物の面から調査した著者による報告。2012年4月20日には出版されており、それなりに関心をもっている人がいることが伺える。そこが救いではある。

 読む前から人間の活動によって自然環境が改変されているので、流出した砂浜が回復せず、深刻な事態になるかもしれないと仮説を立てていた。
 著者の問題意識はそれよりも手前にあって、より直接的に破局がもたらされていたことが分かった。海岸付近まで機械力で開発したことで、人は死ぬし、動植物は回復の機会をうしなう。
 いいことはあったのだろうか……しかし、いったん人の所有地になってしまえば、元の姿に戻すなんて発想はでてきそうもない。復興の名の元にさらなる被害がもたらされかねない状況とのことだった。
 ため息しかでない。

 著者のそのままの気持ちが表れているため、悲観的すぎて共感するのに躊躇うことも多かった。絶滅危惧種が生き残っていた場所をポジティブに取り上げて、そこだけは絶対に保持しつつ、周囲への拡散を図る戦略も必要だったのかもしれない。
 被災地の寸断された交通網を使って足繁く生物の調査をすることは、自分にはとても真似できることではなく、素直に尊敬の念も抱いた。

 原発事故の影響もあって福島のことはほとんど取り上げられていなかった。せめて福島で生き残った種が、人間の介入がないことで繁栄して広がってきてくれたら良いのだが……外来種が圧倒してしまう可能性もあり、気になるところだ。

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巨大津波は生態系をどう変えたか―生きものたちの東日本大震災 (ブルーバックス)
巨大津波は生態系をどう変えたか―生きものたちの東日本大震災 (ブルーバックス)
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