<< 有機・無農薬の野菜作り | main | 覇龍の戦録2巻〜智将の手練手管 林譲治 >>

連合艦隊秘史 覇龍の戦録1〜帝国海軍の切り札 林譲治

 第二石油という物理法則を捻じ曲げる無茶苦茶な設定によって展開される日米戦。原理発見の切っ掛けも悪趣味で、それが起きたときには思わず笑った。ロストユニバースの人間の根性で動いている宇宙船もアレだが、あるていど開き直られると笑うしかない。
 まっとうな神経で考えれば水さえあれば無限のエネルギーをとりだせるのだから、国策として第二石油機関を推進して純粋な国力でアメリカを凌駕すればよさそうなもの。輸送船が恐ろしいペースで運営できることもさることながら、電力を低コストで無尽蔵に供給できることは大きい。水力発電が多い国はアルミの精錬で稼いでいるが、第二石油で日本が受けられる恩恵はその比ではないだろう。

 しかし、この世界の日本海軍の頭にあることは国全体のことではなく、組織ひとつのことに留まっているわけで……だからこそ日米戦が起きてしまうのだ。それが堪らなく嫌なのだが、そうでもしないと戦争――ひいては小説がなりたたないのでしかたがない。
 でも、実は第二石油の技術開発に絡んで、電探の技術が史実よりも前進させられていることが重要なのかもしれない。潜水艦と電探は空母と並ぶ第二次大戦技術の華だから、真珠湾奇襲準備にともなうあれこれの航空機運用技術を犠牲にしても、発展させるだけの価値がある。

 漸減迎撃戦法が普通に行われていた場合のシミュレーションにもなっているのだが、第二石油があるからこそ回っている部分をみると、元々の計画にも真珠湾奇襲とは違った無理があったんじゃないかと思う。
 けっきょく、帝国海軍は組織のための戦争を考えていたわけで、戦争のための組織になろうとつとめて来なかったんだろうなぁ。それこそ秘史にしたくなるというもの。

林譲治作品感想記事一覧

連合艦隊秘史覇竜の戦録―帝国海軍の切り札
林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 11:33 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 11:33 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/346
トラックバック