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覇龍の戦録3巻〜一流の政治工作 林譲治

 この3巻では印象的な会話シーンがいくつもある。ウィットに富んでいたり、絶妙の間をもっていたり、漫才として微笑ましかったりする二人の人物による掛け合いだ。もしかしたら星界のネレース&ネフェーやスポール&クファデスを意識したものかもしれない。林先生の志はSF界に強いのだから不思議はない。
 とりあえずあの中ではハルゼー&レイトンが好きかなぁ。零式観測機搭乗員による冒険譚は読み物としては面白いのだが、部分を扱いすぎている嫌いがある。それよりも黙々と地味な砲撃任務をこなす阿部少将がいい、それでいて鉄砲屋でないところも含めて。
 そういう閑職の人間に華をもたしてくれる林先生だけに、呂号潜の残念な運命には涙を禁じえない。まぁ、戦争で人が死ぬのは珍しいことではないのだけど、潜水艦乗りに親しみをもたせるシーンの多い作品だけに悲しみもひとしおなのだ。

 第二石油と井上成美のおかげで日本が本格的すぎるほどの通商破壊戦に目覚めたのはよいし、これでこそ大二次世界大戦。航空機と潜水艦の劇場と思えるのだけど、水中高速潜水艦に音響追尾魚雷という胡乱なものが組み合わさって異能進化してしまった結果、精鋭とはいえ基本的に量産品である潜水艦と戦艦が等価交換される状況になってしまった。かなり無理して開発しているだろうアメリカはともかく、第二石油のずっこい機関を使っている日本はコスト的に戦艦運用なんて馬鹿らしくてやってらんねーのではないか?
 まぁ、潜水艦で陸上の目標を攻撃することはできないが――伊25はやる――それには爆撃機などの機材があるからなぁ。経済の観点でこの戦争を眺めると、あまりにも明確なコスト問題に海軍上層部ですら目覚めざるをえまい。誰かさんの陰謀でその上層部が刷新されまくっているから、しまいには日本海軍は近代化を飛び越えて未来化の道をひた走ることになるのだろう。

 潜水艦で隠されているところはあるけれど、電探の発達具合も明らかに異常だ。おそらく機関の研究にまわるはずだった予算の一部などを流用している。第二石油の混乱に乗じた目端の効くやつがいたのだ。
 あと、収束帯の説明文に航空宇宙軍史世界のシャフトを感じたのは絶対、狙ってやってると思う。まったく、人外協力隊は!まったく!!

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連合艦隊秘史 覇龍の戦録〈3〉一流の政治工作
林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:14 | comments(0) | trackbacks(0)

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