<< 覇龍の戦録4巻〜南海の駆け引き 林譲治 | main | 沈黙の都市マヤ コンスタンス・コルテス >>

覇龍の戦録5巻〜大団円の計略 林譲治

 「が…ま…」といいながら山本五十六軍令部総長が死亡し、夜神月か鳴海清隆か、仕掛け人、井上成美に凱歌があがる。
 極めて計画的で入念な外交工作が行われ、画期的な新兵器の数々が投入されても中国からの退却という形で戦争は終わらざるをえなかった。どだいあそこを占領して維持しようと考えるのが無茶なのだが、現実的に歴史の復元力をこえる改変を行うことの難しさを感じる。
 まぁ、三国連合もドイツを切り捨てるという方法で終戦の役に立ったといえなくもない。裏切ることにしか価値のない同盟なんて空しいけれど、もともと価値の低い同盟だったのだから価値を与えられただけでも大したものか。

 最後の戦いとなる日独の潜水艦戦において、沈黙の艦隊のパロディにしか思えない嘘の設定がでていた。まぁ、不可能とはいっていないし作品の肝になるものと単なる理由付けでは差が大きすぎる。
 戦いそのものは非常に緊迫していて、相手の能力の読み合いからはじまって、心技体すべてを尽くした攻めては守り、守っては攻める攻防が熱い。
 決着は少し大人しいけれど、ハードウェア的な理由は第二石油のでてくる異常世界らしくもある。原子力は「光」、ワルター機関は「闇」さ。

 ラストは完璧にSFと化していてあるべき姿にたどりついたなぁ、と思ってしまう。井上成美は組織者としては優秀だっただろうから、第二石油や佐々木教授を活用しながら宇宙開発に専心すれば1999年に日本独自の火星到着も可能だろう。
 海軍が宇宙船まで保有しているあの世界で陸軍の立場が心配だ。事実上の海兵隊的あつかいを受けつづけ、空軍以下の存在になりさがってそうだ……相手が悪かったな。

連合艦隊秘史 覇龍の戦録〈5〉大団円の計略
林 譲治
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:10 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 12:10 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/350
トラックバック