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今川氏滅亡 大石泰史 角川選書

 明治20年に断絶した今川氏の戦国大名としての滅亡を描いた学術的な一冊。駿河における今川氏のはじまりから、氏真の最後までを丹念に追っている。
 丹念すぎて新しい人物の名前が出るたびに、書状などの痕跡をおいかける話になりがちだった。それはそれで興味深いのだが、なかなか本筋に勢いがつかない。

 とりあえず今川氏真が衰退していく今川家を何とかしようと、あがいた様子はイメージできた。相手が悪いと言っても、武田信玄が裏切らなければ、徳川家との闘争は長く行えたかもしれない。三河における戦いは、徳川家が圧倒していたわけじゃなくて、今川家の勝利もあったこと、氏真が三河に出馬したときは一時的に盛り返したことが本書で紹介されている。
 それこそ織田家にとっての徳川家の立場に、北条家にとっての今川家がなりそうだが……信玄の判断は正しかった?
 まぁ、本拠地を駿河から西に進められなかった時点で……徳川家は本拠地移動をしたせいで浜松派と岡崎派が対立したらしいし、歴史があるだけに今川家にはリスキーすぎたのかもしれない。

 著者は最後に今川氏の「滅亡」原因は、人材の枯渇にあるとの考えを披露していた。名門の今川家でも人材の層は意外と薄くて、国衆に頼らないといけない面もあったようだ。
 領国を失った後も上杉家に前と同じ形式の書状を送って怒られたエピソードは著者のいうとおり人材の枯渇が原因なのかもしれないが、家康に昔のままの態度で接して辟易させたという氏真の逸話も思い起こさせた。
 名門出身なのに形式へのうるささが足りなかった?決めるところでは意外としっかりしている信長と印象が反転してきそうである。

関連書評
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武田信玄〜武田三代興亡記 吉田龍司

今川氏滅亡 (角川選書)
今川氏滅亡 (角川選書)
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