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突変 森岡浩之 徳間文庫


 人類の暮らす表地球とまったく別の生態系が構築されている裏地球の土地が住民ごと交換される現象が世界各国で頻発。危険な生物「チェンジリング」が表地球上にばらまかれる一方で、裏地球には人類を含めた表地球の人々が送り込まれる。
 そして、日本で三度目の事例が酒河市の一部地域を襲う。この異変に巻き込まれた一般市民の様相を描く群像劇。スーパーヒーローとまで言える人物は登場せず、最終的には銃火器をもった人類が裏地球も征服しそうだが、まだその段階にない状態で送り込まれた人々には慰めにならない。

 異世界転移も、ここまでやってくれれば本格SF小説である。
 転移した人々の法的な問題や、裏地球生物の進化史まで、興味深い情報が盛りだくさんで楽しめる。
 ただし、転移が起こるまでの描写は文章に優れた著者をしても、やや退屈に感じられるので、乗り切る必要がある。

 陰謀論全開の女性市議会議員が強烈であったが、最終的にはちょっとだけ真相に迫っている気がしないでもなかった。
 転移が最近になって起き出した理由はいったい何なのか。そのあたりの謎は解決されていない。
 最終的には表地球と裏地球の土地がすべて交換されて終わるのかなぁ。第二第三の裏地球が?

 最初は救援の当てがない久米島や大阪周辺の話を読みたい気もしていたのだが、終わってみれば先行者がいることの魅力を強く感じさせてくれるストーリーになっていた。
 リセットされた日本の資源開発は興味深い。東北にすごい鉄鉱床があったはず。日本国内の石油や石炭の資源が同じ場所にあるなら、(地質学スケール的に)つい最近まで同じ道筋で生物が進化していたと考えないとおかしいのだが、有笛動物は魅力的だ。あまりのリアリティに実在する動物を発展させまくったと勘違いしてしまった。気嚢のシステムは鳥類に似ている。
 あと関西人が転移したために関西弁が強い。後半に出てきた双子兄妹の掛け合いが癖になる。

 都市がまるごと転移する話としては、伊東市が第二次世界大戦に転移した橋本純の「波動大戦」を連想した。

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突変 (徳間文庫)
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